有名人インタビュー

2016.12.24

西野亮廣が考える、これからの働き方【インタビュー後編】

ドラマティックな物語と繊細な絵に感動する絵本『えんとつ町のプペル』と、斬新なビジネス書『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』などを手がけ、話題となっているキングコング西野亮廣さん。インタビュー後編では、仕事でスキルアップするコツを教えていただきます。

インタビュー前編はこちら

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嫌われ者の代弁者になりたい

――西野さんの「嫌われキャラ」も、ブランディングが優れているからこそできたことだと思うんです。

「ブランドも何も、ただ嫌われているだけですけどね(笑)。ただ、ひとつだけ確実に言えることは、僕たちが生きていく上では、基本的には、自分のことを好いてくれる人の数しか計上されないということ。僕の場合だと、ライブの動員数や本の売り上げ部数などですね。自分が何か100人に対して情報を発信したとして、1対9で嫌われるとします。この時、『90人もの人に嫌われるのは嫌だ』と言って、声のボリュームを下げて、10人だけに発信してしまうと、反対の声は10分の1に減りますが、同時に自分のことを支持してくれる人数も10分の1に減って、1人になってしまいます。たとえば僕の場合はファンが1人では生きていけません。支持してくれる人の比率が悪ければ悪いほど、声のボリュームを上げて、分母を拡大した方がいい。これまで100人に発信していたところを、1000万人に発信した方がいい。そうすると、100万人が支えてくれるし、そして900万人から嫌われますが、そちらの方は数字上はゼロです。目を向けなきゃいけないのは、自分のことを嫌う人の数ではなく、自分のことを好いてくれる人の数。すなわち比率と分母です。そして比率は変えてはいけない。それの比率こそが自分の個性だから

――なるほど!

「あとは、スタッフとよく話しているのが、自分が誰の代弁者になるのかということ。僕は所属するコミュニティに疑問を持って、外に飛び出そうとして迫害されている人達の代弁者であろうと決めました」

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僕は週に4、5回炎上している「暖炉」のような男です

――お話を聞いていると、ものすごくポジティブに感じられるんですが、そこまで叩かれることに強くなれたのはどうしてでしょうか。多くの人は少し叩かれるだけで、かなりのダメージを受けると思うんです。

「たぶん、1年に1回くらいの炎上だったら、しょげることもあるかとは思うんです。僕は週に4~5回は炎上しているんですよ。もはや暖炉のようなもの、それが通常営業なので、叩かれることに対して何も感じないんです(笑)。そして、さきほど(前編)も話しましたが、『怖い』という感情は把握不足からくるのだと思います。<嫌われた先に何があるかわからないから怖い>のだと思うんです。高額の胡散臭い自己啓発セミナーや、当て逃げでお馴染みのNON STYLE井上君などが、声高らかにポジティブシンキングを叫び、それによって救われている方々もいるので間違いでは決してないと思うのですが、僕は、恐怖を取り除くのはポジティブシンキングではなくて、ロジカルシンキングだと思っています。『こうで、こうで、こうなるから、大丈夫』ということを具体的に理論立てて説明し、納得さえできれば、人はポジティブになれる。ほら、初めての海外旅行は不安だらけですが、何度か経験して、その対処法がわかっていれば不安は消えるじゃないですか? あの感じです」

自分の武器を充実させれば、仕事も恋愛も楽しめる

――20代のうちはがむしゃらに働いていたとして、30代、40代の働く女性にとって、スキルアップは簡単なものではありません。西野さんが思うスキルアップするコツを教えて下さい。

「いろんな仕事があって、いろんなスキルがありますので、スキルアップに関しては一概には言えないのですが、まずはステージアップすることだと思います。スキルは後からついてくるから。そして、ステージアップする為に必要なのは『交渉』だと思います。僕が対テレビや対吉本興業に対してステージを上げる、まず交渉することから始めます。そのためには当然対等でいなくてはいけないんです。それと、<言っておくけど、ここから知らないといわれても、僕は大丈夫だからね>というカードを持つことが何よりも大事だと思っているんです」

03

――具体的にどういうことでしょうか?

「僕の場合、テレビで好きなことをしようと思ったら、テレビ以外の仕事を充実させたり、吉本興業に『これがしたい』『これはやりたくない』と伝えるときは、吉本興業という会社が無くても、活動していける環境を整えておくようにしています。具体的に言うと、『干すぞ』と脅されても、『全然オッケーですよ。俺、他で食えますんで』と強がり嘘偽りなく返せる環境を整えておくようにしておくということです。その時、対等な関係が生まれて、はじめて交渉ができる。もちろん、そこまで強気でいるためには、自分のプライベートな時間を使って、自分の武器となるものを充実させることが大事。今は副業オッケーの会社も多いですから、会社から求められている能力とは違う部分を伸ばして、交渉に備えておくことが大切です。上に抗う武器をもっていないと、自分の人生を他人軸で進められて終わり。そうならないためにも、僕は芸人のクセに絵本を描いています

嫌われたり、へこんだら、下を見て下さい。日本中から嫌われている僕がいます(笑)

――そのためには、「会社に雇ってもらっている」という考え方はやめた方がよさそうですね。

「そうでしょうね。いつでも辞められるという状況をつくれば、今の会社はより楽しく働けると思うんです。なにより『そんなもん、知るか』というカードを持っている人は強い(笑)」

――それって、恋愛にも置き換えられますね。

「たしかに。そう思います。『あなたじゃなくてもいい』と言えるくらいの強さがあると、依存せずに済みますからね」

――では最後に、しごとなでし読者へメッセージをお願いします。

「今の時代、とにかく好きなことを、仕事になるまでやり続けたほうがいいと思います。そこで叩かれて嫌われてへこむようなことがあったら、下を見て下さい。そこには僕がいます(笑)。日本中から嫌われている僕がめっちゃ楽しそうにいろんなことをしているんだから、きっとあなたは元気になれるはずです。落ち込んだら下を見てください、僕がいます…もとい! 今ならNON STYLE井上君がいます(笑)」

インタビュー前編を読む

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Profile
西野亮廣(にしのあきひろ)…お笑い芸人、絵本作家。1980年 兵庫県生まれ。1999年梶原雄太とキングコング結成。2001年フジテレビ系「はねるのトびら」にレギュラー出演し、大ブレイク。2005年にブログ「西野公論」を立ち上げ、話題となる。その後、5年の月日をかけて制作した絵本「Dr.インクの星空キネマ」を発表したことを皮切りに、絵本作家としての活動もスタート。現在は、ニューヨークで個展を開催するなど、お笑い芸人の枠を越えたマルチな活動で人々の関心を集めている。泣けるビジネス書と話題の「魔法のコンパス 道なき道の歩き方」西野亮廣著(主婦と生活社)が大好評発売中。ブログ▶http://lineblog.me/nishino/

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撮影/深山徳幸 文/高橋あや

 
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