ヘルス

2017.01.21

杏奈先生のなでしこ健康相談室【5】その疲れ、鉄不足かも?

加藤杏奈 産業医・労働衛生コンサルタント

こんにちは、産業医の加藤杏奈です。しごとなでしこの皆さんが、健やかに&しなやかに働けるよう健康相談室を開設しています。

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今回のテーマは貧血。貧血というと、血が薄い、血が足りない、めまいや立ちくらみがする。こんなイメージでしょうか。

朝の目覚めが悪い、日中ボーっとする、なんだか疲れやすい、やけに寒さに弱くなった‥ということはないですか? もしかしたらこれらも貧血の症状かもしれません。

女性の貧血の原因は、ほとんどが鉄不足女性の約15%が鉄欠乏性貧血だと言われています(国民健康基礎調査より)。ご自身の健康診断結果を見直してみてください。ヘモグロビン量(血色素量)12g/dl以下の人は要注意です。

ゆっくり進行した貧血は意外と症状が出ない!?【子宮筋腫があるBさんの健康相談】

企業で働く女性Bさん(現在37歳。30歳で妊娠したために前の勤め先を退職。育児を経て37歳で事務職の派遣社員として復職)の雇用時の健康診断結果が届きました。

産業医:ヘモグロビン7.2!? 辛くないのかしら…。仕事中や通勤途中で倒れないか心配だし、体調の確認が必要だわ。さっそく、連絡してみよう。

〜〜〜

産業医:Bさん、健診結果をみたんですが、かなり貧血がありますね。治療を受けていますか?

Bさん:そういえば、顔色がよくないって言われたり、疲れやすいなぁと思っていましたけど、結果を聞いてびっくりしました。医師のすすめもあって鉄剤を飲み始めました。来月、また採血する予定です。

産業医:治療が始まってよかったです。貧血の原因はわかっていますか?

Bさん:はい、子宮筋腫と言われました。もともと筋腫が何個かあるのは知っていたのですが。出産育児で前の職場を辞めてからしばらく自分の健康診断を受けていなかったので、子宮筋腫が大きくなっていたんですね。最近、月経量も多いのはそのためもあるだろうと言われました。今後、更年期を迎えたら筋腫は小さくなるだろうから、まずは鉄剤内服でしばらく様子を見て、今後もし筋腫が大きくなるようなら取りましょうと言われました。

産業医:こちらも驚く値で心配しましたが、ゆっくり進行したから体が貧血に慣れてきていたんでしょうね。来月の採血結果がわかったら私にも教えてください。

Point:赤血球の大半はヘモグロビンというたんぱく質が占めています。ヘモグロビンは肺から取り込んだ酸素とくっついて体中に酸素を運びます。これが不足すると、体が酸欠状態になります。貧血にはさまざまな種類がありますが、70%以上は「鉄欠乏性貧血」で、ヘモグロビンの材料である鉄不足が原因です。ヘモグロビンが7以下というのは重度の貧血で、急な失血であれば輸血を検討する値です。しかし、鉄欠乏性貧血の多くは、Bさんのようにゆっくり進行するので、体が順応して、症状に気づきにくいのです。

【女性の鉄欠乏性貧血の原因】
1.鉄分の摂取不足‥ダイエット、偏った食事
2.慢性的な出血‥月経量が多い、生理日数が長い状態(子宮筋腫、更年期、生理不順がある)
3.妊娠・授乳

【症状】
・疲れやすい、息切れ、動悸
体が酸欠状態のため、疲れやすく、運動をすると息切れが起こりやすくなります。また、より多くの酸素を全身に運ぼうと心臓に負担がかかり、動悸が起こることもあります。

・めまい、頭痛、肩こり
脳も酸欠状態になるため、めまいや頭痛が起きます。

・顔色が悪い
赤みが失せて顔色が青白く見えます。あっかんべーとしたときに見える下まぶたの裏が真っ白になります。さらに進むと、黄色がかった顔色になってきます。

・肌がカサカサ、抜け毛
酸素不足により代謝も悪くなり、肌や髪の毛の状態に影響がでます。

・さらに貧血が続くと…
食事の際にしみたり、飲み込みにくい感じがしたり、爪が反り返ったり割れやすくなったりします。

【治療】
まずは原因となる疾患の治療です。
次に、鉄剤の内服。貧血が進んだ状態では、食事からだけでは鉄分の補給が追いつかないので治療が必要です。
より貧血が進んでいる場合や鉄剤が気持ち悪いなどで内服ができない人は、鉄剤の点滴を行います。貧血が治っても、体に十分の鉄が貯まるまで、3〜6ヶ月程度、内服を続けます。

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しごとなでしこ世代は鉄分を積極的に摂りましょう

動物性食材(レバー、牛肉、豚肉、しじみ、あさりなど)に含まれる鉄分は吸収率がよいので積極的に摂るべき。植物性のもの(ひじき、大豆、小松菜、ほうれん草など)に含まれる鉄分は動物性に比べると吸収が悪いので、動物性のものやビタミンCと一緒に採ると吸収が良くなります。
また、胃酸がよく出ているときの方が、鉄の吸収率はよくなるので、よく噛んで食べたり、お酢や梅干しなどを加えるとさらにいいですね。
おすすめメニューは「牛肉とチンゲン菜のオイスター炒め」「すき焼き風の肉豆腐」「しそ巻きレバーの竜田揚げ」「あさりの酒蒸し」「豚肉と小松菜の梅ソテー」「ひじきと大豆の煮物」など。いずれも貧血予防によい組み合わせメニューです。

男性の貧血も要注意! 必ず精密検査を!

女性と違い、月経で失血することはないので、体のどこかで慢性的に出血している可能性があります。胃・十二指腸潰瘍の他、胃がん、大腸ポリープや大腸がんが考えられるので、たかが貧血と思わず、必ず内科、消化器内科を受診しましょう。

加藤杏奈 産業医・労働衛生コンサルタント

産業医科大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。専門は産業医学、予防医学、メンタルヘルス。産業衛生専門医。現在、某化粧品メーカーの産業医として勤務している。

 
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