しごとなでしこ - SHOGAKUKAN

あの社長に聞きたい!vol.1

「ファッションレンタルサービス」という新しい市場はどう生まれたのか。エアークローゼット社長 天沼氏インタビュー

今話題の社長にインタビューする連載「あの社長に聞きたい!」。自立的に働くことが当たり前になった時代のトレンドをいく働き方とは何か。 第一回目はエアークローゼット社の社長 天沼 聰さんにお話しを伺います。

エアークローゼット社 天沼 聰社長インタビュー

2015年にサービスが始まった「airCloset(エアークローゼット)」は、プロのスタイリストがコーディネートした洋服が借り放題。まったく新しいファッションレンタルサービスというジャンルを確立させました。

「何を着れば良いのか分からない」「服を選ぶ時間がない」など、忙しい女性の悩みをパーソナルスタイリングで解消するこのファッションレンタルサービスは、どのような経緯でうまれたのか。社長の天沼 聰さんにお話を伺います。

エアークローゼット社 天沼 聰社長

——エアークローゼットを立ち上げようと思った理由とは?

天沼:「レンタルをはじめよう」と思ったのではなく、生活の中に新しいファッションの楽しみ方を作りたいと思ったのです。妻の普段のお買い物を見ていたときのこと。休日にでかける際に「着る服がないんだよね」ってクローゼットの前で言うので、自分の10倍くらいの服を持っているのになんでだろう? と思ったわけです。

クローゼット レンタル

実際に買い物に出かけて買おうとしている服を見ると、だいたい2〜3ヶ月前に買っていた同じような色、同じような素材のものなんです。お洋服自体の物量はあるけど、ファッションカテゴリーやブランドの幅、着回しが限定的になり、着る服がないってことになっているのだろうと気づきました。

そのときに、日々の生活の中に自分では選ばないけれど、信頼できる第三者が選んでくれて、ファッションが新しい出会いとして楽しめたら、もっと生活がワクワクするはずだと考えたのがきっかけです。

事業立ち上げの際、「ライフスタイルの中に、ワクワクが空気のようにあたりまえになる世界がつくれるといいね」というのが最初に掲げたビジョン。それを弊社の行動指針「9Hearts」でも謳い、感動体験やワクワク体験を作るというのを会社のコアにしています。

9Hearts

エアークローゼットが提案する「9Hearts」とは…

1.お客様の感動が第一
提供するサービスはお客様の笑顔をつくるもの。お客様が感動することを常に考え、行動する。

2.BE POSITIVE, BE ACTIVE
どんな場面であっても取り組みの実現に向けた方法を考える。難しいかもしれない点を考えるのではなく、どうしたらそれが解決できるかを考える。

3.スピード感を持ち、動く
考えているだけで事は起こせない、スピード感を持って動き、動く中で改善していく。ちょっと変でもいい、完璧じゃなくていい。

4.発信する個であれ
一人一人がairClosetであるという意識を持ち、自分から考えや想いを積極的に発信し、共有する。

5.シェアをし、チームも自己も成長する
情報、知識、感じたこと、受けた感動…どんなことも共有(シェア)をすることでチームの総合力を高める。

6.失敗を恐れるな
どんな失敗であれ、改善の元となる。失敗したと気づくことは改善点が見えたということ、失敗を恐れず挑戦し続ける。

7.BE CREATIVE, GET “WOW!”
新しいあたりまえ、感動をつくるためにどんなことにも興味を持ち、常にクリエイティブである。

8.私たちに障害はない
どんな障害であっても、それが私たちの信じる正しいことのためであればルールを変えてでも乗り越え、達成する。

9.全力で楽しむ!
サービスを提供する私たちが作り手として全力で楽しむ! 楽しんだ分サービスにも想いがこもる。

——2015年2月のローンチから約3年半。天沼社長の描いた場所には到達できていますか?

天沼:当時から見た今という意味では、ある一定の「合格点」は会社に対しても、私に対してもあげられるのではないかと思います。今は当時考えていた以上にレディースの反響があるため、そこに注力をさせていただいていますが、当時はグローバル展開や、メンズ、シニア、キッズという領域も考えていたので、その野望を叶えるのはまだ先になるのではないかと思います。

エアークローゼット社 天沼 聰社長インタビュー

——目指すところ、方向性や目的を変えたりはしなかったですか?

天沼:そこはまったくブレていません。設立当初や2014年にサービス発表させていただいた内容を振り返っても、今もまったく同じです。実現したい未来、実現したいライフスタイルというのは変えずに、とにかく自分たちが新しいサービスを作るということです。当時は「ファッションレンタル」「普段着のレンタル」はありませんでした。ゼロから新しい文化を作り、自分たちが描いていた方向に少しずつ近づけることができているのではないかと思ってます。

本質的にサービス自体にゴールはない、完成はないと思っています。常に進化し続けるものですので、そこに向けて日々進化したいですね。

エアークローゼット社 天沼 聰社長インタビュー

——ファッションレンタル文化は広がりつつありますが、さらに価値を広げるために取り組んでいることとは?

天沼:これまではアーリーアダプター、ファッション感度高めの方々が、弊社サービスをよく知ってくださってたんですが、これからは本当にこのサービスをご利用いただきたい方たちに届けたいと思っています。

たとえば、日々時間のない中で子育てをされている方や、とくに仕事に注力してるからファッションをもっと楽しみたいけれど時間がないお勤めの方など、ゆっくり時間が使えればもっとモノ選びにも時間を使えるんだけど、その時間がなくて楽しめてない方のことですね。

情報のキャッチアップで言えば、弊社サービス(ファッションレンタルサービス)というのは聞いたことはあるという人は少しずつ増えてきているとは思いますが、知っているけれどまだ使っていないという方は多いと思います。そのようなみなさんに実際にご利用いただいて、その価値を広げていきたいと思います。

エアークローゼット社 天沼 聰社長インタビュー

——︎開始当初よりもサービスの質は向上していると思いますが、まだ普段着のレンタルに抵抗のある方がいらっしゃいそうな気がします。

天沼:レンタル自体使ったことがないために違和感を感じていたり、パーソナルスタイリングも受けたことがないという方がほとんどなので、そういったものは自分に合わないんじゃないかとイメージされているというお声はいただいています。とはいえ、無理矢理説得して使っていただこうとは思っていません。その方々が弊社サービスを利用される機会ができたときに、満足いただけるサービスを提供できるようにすべきと考えています。ご利用の際の不安を吹き飛ばすことのほうが本質的ですので、サービス改善に注力したいと思っています。

このサービスはゼロから立ち上げたので、今ではクリアしている課題でも、スタート当時はまだクリアできてなかったものもありました。今ではパーソナルスタイリングの品質も高まっていますが、当初と現在では圧倒的に違いますし、今後はもっと改善を進め、サービス開始時に残念に思われたお客様にも再度使っていただけたらと考えています。

エアークローゼット

天沼社長の考える、これからの働き方とは

——スタイリストさんの働き方が特徴的と言われていますが。

天沼:弊社の執務エリアはガラス張りにし、来客されているお客様にも働いている表情も含め、自分たちがどうやって働いているのかすべて見えてしまっていいだろう、透明性を持っていこうというところをコアにしています。エントランスから手前がスタイリストルーム、奥が社内メンバーのいる執務エリア。ドアを開放すれば声や音も聞こえますし、みんなが一緒に働いてる環境です。ただし、「スタイリスト」と「社内メンバー」では働く上での制約、ルールは大きく違います。

スタイリストさんたちはパーソナルスタイリングという品質を、個々に高めていくという大きな目的を持つスペシャリストです。ですので我々は、どこにいてもスペシャライズされたスキルは活かせるはずだという概念を持っています。

デスクを準備、PC等はお貸し出しして、手ぶらで出社して好きなところに座って仕事できる状態になっています。3時間だとか単位的な縛りはあるのですが、勤務時間については、いつ来ていつ帰ってもいいですよとしていますし、出社しなくてもいいケースもあります。

ご自宅で働くママさんスタイリストさんや、実際に海外在住(ドイツ・コペンハーゲン)の日本人のスタイリストさんがいたりします。これまでスタイリストさんたちは、お洋服を見てその場で対応しなければならなかったり、荷物も重い、マタニティになった方はわりと早めに休暇に入られる方が多かったんです。センスやスキルのシェアって考えたら、働く場所を選ばなくてもいいはずなんですよね。そのため、場所も時間も選ばずという働き方をご提案しています。

——︎質とスピードを高める対人コミュニケーション重視の働き方

天沼:一方、社内メンバーは、サービスを作っていく運命共同体の組織として動くため、メンバー間のコミュニケーションを大事にしています。必ずコアタイムに同じ空間にいることを重視、基本的にリモートワークはNGで、座席もフリーデスクでなく固定席にしています。チームである以上は、対面でのコミュニケーションに意味があると考えています。

スタイリストさんと社内メンバーは、まったく別の文化で働いているというのが、特徴的でおそらく弊社独自ではないかなと思います。

——IT企業は、フリーアドレス制、リモートワークを推進するところが多いのですが。

天沼:フリーデスク、リモートにする意図や合理性は理解できるのですが、そのような働き方でも圧倒的な品質が求められるはずです。それに対して是が非でも応えるという心持ちを持つ人のみがそういう働き方をすべきだと思っていて、そうでなければプロとして成り立つはずはなく、全員がそういう働き方をするためには、けっこうなマインドセットが必要ではないかと思います。

組織として対人コミュニケーションを重視するほうが、圧倒的に質とスピードが高まり、メンバーが働き方の選択肢を広げることよりも、そのほうが組織が強くなると思っています。

エアークローゼット社 天沼 聰社長インタビュー

エアークローゼットが次に目指す場所

ーー今後エアークローゼットはどんなサービスを目指していきますか?

天沼:現在、ファッションレンタルサービス「airCloset」と、実店舗「airCloset×ABLE(エアークローゼットエイブル)」、パーソナルショッピングアプリ「pickss(ピックス)」というこれまでにない買い物体験というのを横軸に持っていってるんですが、共通項は「パーソナルスタイリング」です。

ひとりひとりが今までぜんぶ選んでいたところを、信頼できる第三者であるプロのスタイリストに選んでもらえるということです。それって生活の中にない出会いにつながるので、ワクワクすると思います。「パーソナルスタイリング」は、現サービスを他の企業さんと新規事業も含めて広げていくときに、絶対にブラさないところでもあります。

エアークローゼット

年内にはお洋服と一緒にアクセサリーも同梱します。新しいお洋服が届いても、今まで持っていたアクセサリーが合わないことが多いとのお客様の声が多かったのです。そして今はレディースに特化してますが、メンズ、シニア、キッズ、マタニティといったエリアも、同じようにワクワク体験、感動体験というのは求められていると思うので、そちらの領域も広げていきたいと考えています。

同時に、ファッション文化を広げるという意味においては、日本人だけでなく地球規模でもワクワク体験、感動体験を届けていきたく、グローバルを見据えています。

エアークローゼット

エアークローゼット社は、そのサービスを届けていくために、行動指針「9Hearts」を体現し、質とスピード感を持った組織であり続けたいと思っています。

やるべきことの大きな軸は、「パーソナル」。今までのサービスは「マス(大衆)に提供されている」ものでしたが、ひとりひとりに届ける「パーソナルなサービス体験」を重視しています。

二つ目は、モノ重視で謳っていくことよりも体験を重視し、体験価値を高められるように組織としてさまざまな事業を考えていきたいと思っています。

三つ目は、経済価値、お金価値よりも、「時間価値」が高まっていくはずだと考えているため、時間の使い方であったり、人としてどう生きるのかであったり、働く女性にも、ママさんにも多様な提案をしていきたいと思っています。

たとえば働いているママさんは、週末はお仕事の予定、翌週は友達と約束があり、再来週は家族旅行…などと言ってたらシーズンが終わってしまう。週末も平日も予定があってお買い物に行けない、そんな中でシーズンが終わってしまうのではなく、同じ時間軸で「pickss」というスタイリングサービスがあるときはどうかと考えるときに、平日に「pickss」を利用していただけたら自分の信頼できる第三者がお洋服を選んでおいてくれ、空き時間にお洋服の試着ができ、購入もできるという、これまでできなかった体験ができます。

大量のお洋服の中から選んでくださいねっていうのは難儀なので、悩まないお買い物というのを提唱し、これまでと同じ時間軸、同じ働き方という時間の使い方をしていても、新しいファッションに出会えると考えています。そうすると週末の時間価値が高まると思うのです。

この「pickss」のある新しい考え方でいうと、新しいお洋服を着て、新しい気持ちで仕事に行けると思うんです。そうすると全く同じ時間軸で考えても、新しいお洋服を着て、新しい気持ちで仕事に行く自分を想像すると少しワクワクすると思いますし、もしかしたら仕事の生産性も上がるかもしれないと思っています。

そういった時間軸は変わらないまま、体験価値が高まるものをできるだけ作っていきたいと考えています。そのためにトライ&エラーを恐れず、いろいろなものを具現化でき、机上の空論で終わる組織ではなく、型作りできる組織でありたいと思っています。

やるべきことはとにかく実証。お客様に何をしたらいいですか? と聞く組織ではなく、我々がお客様を真に理解、最適であろうものを咀嚼して喜んでいただけるものをお届けしたいと思っています。

エアークローゼット

文/猪狩久子 写真/天田陸人

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