しごとなでしこ - SHOGAKUKAN

GW国内旅。聖地巡礼だけじゃない!【飛騨古川】が大人女子旅にぴったりな理由

ゴールデンウィークの国内旅の候補に、“ものをつくる”楽しみを味わうこともすてきな目的のひとつ。コラムニスト松尾彩の旅ガイド。前回の【飛騨高山】編に続き、今回は映画『君の名は。』の舞台となり今もなお注目を集める【飛騨古川へ】。

今もなお、映画『君の名は。』ファンが多く集まる聖地
【飛騨古川編】おすすめ体験スポット

飛騨までは、名古屋からと富山からの行く2パターンがある(電車の場合)。富山からの方が断然近いので今回は東京—富山(新幹線)、富山—飛騨古川(ワイドビューひだ)という電車旅にしてみた。まだまだ雪深い景色を見ながら、山間をガタンゴトンといざ、飛騨古川へ。

▲「ワイドビューひだ」からの眺め。美しい風景が広がる。

▲飛騨古川駅。この日も多くの観光客が訪れていた。

飛騨古川の駅前はすでに<聖地>! 映画『君の名は。』を見た方ならお分かりでしょうが、すでに駅前にいくつか有名な場所があります。

▲駅を降りてすぐ出迎えてくれる飛騨牛くん

▲線路が見渡せる駅の渡り廊下

▲そして瀧が聞き込みをする駅前ロータリー

さて、映画の舞台になった飛騨古川は、古くから「娑婆にあぐんだら(飽きたら)古川へ」と呼ばれるほど栄えた城下町。大きなお祭りや美しい用水路、昔ながらの和ろうそくや酒蔵など江戸の繁栄を今に伝える伝統的なものがそのままに息づいています。ここもまた、ゆっくりのんびり町歩きが楽しいところ。

町に流れる用水路は「瀬戸川」と呼ばれ、春になると鯉が泳ぐ姿が人気。実は私が“瀬戸川で鯉が泳ぐ写真”を初めて見たのは、外国人のブログでした。「日本では用水路に鯉が泳ぐ」とたくさんの人のブログにアップされていたのです。鯉が生息できるほど美しい水のある街、と大賞賛。

雪の降る冬時期でさえ美しい用水ですが高度成長期の時代にはやはり汚れてしまったのだとか。その後地元の人々の尽力があり、再び美しい姿に戻っています。ちなみに鯉さんたちは、雪が降る冬の間は越冬池にお引越しするとか。

また毎年1月15日には「三寺まいり」という行事が行われます。

円光寺、真宗寺、本光寺の3つの寺を参拝する折に、この瀬戸川に雪像ろうそくがズラリと灯されそれはそれは美しい風物詩となっています。なんでも明治・大正時代には製糸工場に出稼ぎに行っていた娘さんたちが帰省し、おめかししてこの三寺まいりをしていたそう。そこで見初められて嫁に行くことも多かったそうです。今でもこの時期は、着物を着ておめかしした女性がたくさん訪れる。

“美味しいお酒”の秘訣は笑顔!【渡辺酒造店】で蔵見学

突然ですが、お酒って、いいもんですよねぇ。旅行先の温泉宿や地元の料理屋さんでいただく地酒ほど染み入るものはありません。ワインと同じく蔵によって個性があって、今や世界に誇るSAKEの世界。

ここ飛騨古川には、ふたつ酒蔵があります。そのうちのひとつ「渡辺酒造店」は全国で最も様々な賞を取っている酒蔵。なんとここでは酒蔵見学ができるとか。

▲店内には数々のトロフィーも飾られていた

ちなみに飛騨に限らず、昔ながらの酒蔵におおきな杉の葉の玉がぶら下がっているのを見たことはないですか? これは「酒林」と呼ばれるもので、毎年新種ができると新しいものに変えられるのです。なので飲兵衛はこの杉玉を見て「お、新酒が出来たんだな」とニヤリとするわけです。また杉玉の色が枯れていくほどに今度はお酒が熟しているということなので、またまた飲兵衛ニヤリ。そんな風流な印なんです。

では早速中へ。風情あるお店の扉を開け中へ入った瞬間目に入ったのは…アウト…レイシュ????

気になったの、ズームで見てみると…

あまりのインパクトにびっくりしたが、これは蔵元や杜氏たちが、それぞれ熱き思いを持ってお勧めするお酒を紹介するイベント販売のポスター。

気持ちが熱すぎて「全面暴走!」してしまったようだ。ちなみにポスターにも載っているコディさんは日本初のアメリカ人蔵人。

渡辺酒造店の「蓬莱」を飲んで一目惚れならぬ一口惚れしここへ修行しにやってきたそうだ。彼がアメリカ合衆国大統領に飲んで欲しいと作り上げた“Cody’s Sake”も人気。

とスタートから度肝を抜かれたわけだが、案内してくれた渡辺隆さんによるとこの蔵のモットーは「笑顔と感謝にあふれる」ことなんだそう。確かにのっけから爆笑してしまったじゃないですか。

この後、隆さんのプロの噺家ばりにユニークなトークと共に蔵見学に連れて行ってくれました。

渡辺酒造の蔵元は現在9代目。初代は当時蚕生産を生業にしていたそう。ある日京都に糸を売りに行き、良い値段で売れたからと料理屋で飲んだ酒があまりにもうまかったそうで。なんと故郷に帰って酒造りを始めたんだとか。呑んべえの初代のおかげで美味しいお酒が今飲めるのかぁ、とちょっとしみじみ。

見学ツアーでは、文字通り酒造りの“すべて”を見ることができます。

使うお米、そのお米を蒸すところ、酵母菌をつけ、それを寝かせてお酒へと仕上がっていくところ。特に酵母菌つけなど、素人から見て「えっ企業秘密では??」など思ってしまうところまで余すところなく見られるツアー。

「うちには隠し事はないんです。もう全部見せちゃうよ!」と豪快に笑う隆さん。何を見られても大丈夫、とは裏を返せばそれだけ腕に自信ありということ。“日本で一番賞を取る酒蔵”の名は伊達ではない。

▲お酒の種類によって使用する米が違う。一番良く使われるのは「ひだほまれ」だそう。

▲運良く、酵母菌をつけるところに遭遇。蒸した米にはらりと菌を振りかけます。

ちなみにふりかけた後は菌が落ち着くまで動けないので、2、3分ほどフリーズ。もちろんくしゃみや咳なんかもしちゃいけないので、すごく緊張した…。

最も面白かったのが、酒母(水と米麹を混ぜ発酵させたもの)がお酒へと変化する過程の樽に“お笑い”を聞かせているというところ。

普段はスピーカーでお笑いを流しているが、時に本物の芸人を呼んで樽の前でライブをしてもらうんだとか。

▲この日は吉本新喜劇の音声が蔵に響いていた。

「雪の結晶に、様々な言葉をかけてどう変化するかの実験があるんです。ありがとう、とか綺麗だね、という言葉では綺麗な結晶のままなのに、ばかやろーとか戦争、何ていう言葉をかけるとその結晶がバラバラに壊れていったという結果があって。良い言葉、笑いの言葉にはそういう力があるんだと思います」

そういえばこの間見たテレビでも、笑いは実際に体の免疫力を上げる効果がある、とやっていた。

お酒を“飲む”時もそうかもしれない。同じ種類のお酒でも、悲しい時に飲むお酒よりも、友達とバカ笑いして飲んだお酒の方が美味しいに決まってる(そして美味しすぎて大抵飲みすぎる)。目には見えないけれど、何かがあるのだ。

最後におおきなタンクを見せてくれた。ここには今までここを訪れた様々な人のメッセージが書かれている。ここに書かれたメッセージも“笑顔”のひとつになって、お酒をさらに美味しくしてくれるんだとか。

さて、何を書こうか迷ったが、ここはやはり飲兵衛らしく「笑う酒には福来る」と記してみた。美味しいお酒を笑顔で飲めることは幸せ。これまでもこれからもそうでありたい、という願いを込めて。

ちなみに渡辺酒造店の建物は国登録有形文化財である。およそ100年ほど前の大火で焼失してしまったが農家の古民家を移築し、元の建物を復元したのだそう。建物を見るだけでも価値があります。

【渡辺酒造店】
岐阜県飛騨市古川町壱之町7-7
TEL(0120)359-352
営業時間:9:00-17:00
http://www.sake-hourai.co.jp/

願いを込めて絵馬に色をつければ、すべてが“ウマくいく”!【飛騨絵馬工房】

次に向かったのは「飛騨絵馬工房」。絵馬と言っても、神社に奉納するあの木の札とはちょっと違います。その昔、飛騨地方では、神様に奉納する生馬の代わりに“馬の絵”を奉納したそう。今でも商売繁盛・家内安全などの縁起物になっています。

「飛騨絵馬工房」では、あらかじめ馬の絵が描かれたものに自分で色をつけ、自分だけの絵馬をつくることができる。

すごく正直なことを言うと、最初は“色を塗るだけか。簡単だなあ”。なんて思ってましたがこれが大間違い。見本の躍動感のあるたてがみを描きたくても、なんだか思ったように書けない!

講師をしてくれる飛騨絵馬の絵師である山口さんからは「細い筆で何度も細い線を試し書きして、線が定まったら描くといいですよ」とアドバイスをいただいた。

そうするとスーッと思い描く馬の毛が書ける。そうなると鞍や手綱の色や柄も上手に書きたい! 気がつけばかなり夢中で筆を動かしていたのであった。

ちなみに絵を描きながら山口さんが教えてくれた郷土史がとても面白かった。

中でも「飛騨は冬が長いので、みんな春のお祭りを心待ちにします。昔に比べて人口は減っていっているけれど決して手を抜かないの。だから毎年、祭りを見るとジーンとします」と嬉しそうにおっしゃっていたのが印象的でした。

あと、この絵馬、描く人の個性が出るのが面白いです。一緒に体験した編集担当Aはシンプルで足の速そうな馬。私は欲張りすぎて派手な暴れ馬みたいになったのであった(汗)

▲松尾作

▲担当編集A作

仕上がった絵は玄関に飾り、幸運を呼び込みます。馬の頭を家の中に向けて飾るので、間取りによって対応できるよう馬の頭は左右どちらのバージョンもあります。

山口さんのオリジナルの絵馬も素敵でした。

「すべてがウマくいく」。なんて良い言葉!

【飛騨絵馬工房】
岐阜県飛騨市古川町壱之町5-6
営業時間:9:00-17:00

飛騨カルチャー発信基地!
【FebCafe Hida】で広葉樹工作にチャレンジ

今回古川では酒蔵と絵馬のふたつの体験だけをする予定だったのですが、偶然宿の隣にあった素敵なカフェを見っけ! ここでは飛騨の木を使ったいろんな木工体験ができるとか。ぶらぶら旅はこういう経験ができるから楽しい。そこで帰る前にちょこっとお邪魔してまいりました。

江戸時代から続く古民家を改築したそう。古川の昔ながらの街並みに溶け込みつつもオシャレで新しい雰囲気が素敵でした。

詳しくお話を聞くと、ここは飛騨市と地域再生や森林資産の管理や生産を行うトビムシ、クリエイティブ・エージェンシーのロフトワークの3社が作った半官半民企業「飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)」が経営する、デジタル木工某カフェと体験宿泊施設だそう。あら、企業名がもう素敵すぎます。

ちなみに飛騨には古来から伝わる「飛騨 匠の技」と呼ばれる優れた木工技術があります。その素晴らしさに、年貢の代わりに職人が都に派遣されていたほど。またそのおかげで更に飛騨の匠の技は進化し、現在も日本で最も家具シェアを誇っている地域である。

そういえば北欧など冬の長い国では家具デザインや建築技術が発達する傾向があるとか。厳しい自然に打ち勝つための技術と、長い時間過ごす家を楽しむための家具。そうやってできたものは大切にされるし、長く愛され続けます。

飛騨もまた豊富な森林資源と、同じく厳しい冬を耐えられるための建築技術、京や江戸で培った(当時の)最先端の様式が合わさって、長い長い時を経ても変わらない魅力があり続けているんだろうなあ。

体験での短い時間ではそんな匠の技の1万分の1に触れることなんてできないけれど、それでも飛騨の木に触れて何かをつくると、不思議と満ち足りた気分になりました。

と、こんなうっとりしていますが今回はちょっと時間が足りず、30分でできるという広葉樹スタンプ作りにチャレンジしたのであった…。

そう、私が木に触れたのはヤスリで磨いた3分間。でも、生の木を触るチャンスって実はそうそうないのでそんな短時間でも手のひらは喜んだのであった。

▲スタンプつくりのほか、お箸や升、フォトブックなんかつくることができる。

DIY好きの人ならわかってもらえると思うが、木をヤスリで磨くとふっと“あ、この感触がベスト”という瞬間がある。こんなに小さな手のひらサイズでもそのしっくり感はしっかりあって、満足満足。

さてさてスタンプ作りはとっても簡単。まず文字やイラストを決め(データでも紙に書いてもOK)、それをパソコンに取り込みます。

それを店内で基盤に起こし…

サイコロ型の広葉樹に貼り付ければ出来上がり!(所要時間30分 ¥2,500) あとは自分好みの感触になるまでヤスリでスリスリ。

▲しごとなでしこキャラクターなでしかちゃんスタンプ!

1日でできる体験ものの中には、広葉樹を自分で削ってお箸を作るものもありました。オプションでレーザーカッターで文字やロゴも入れられるとか。

私たちが行った時は、ちょうどそのお箸DIYの予約が入っていました。一人で2膳分予約していたそうなので、きっと誰かにプレゼントするんだろうな。

他にも宿泊しながら体験できるものも。「森の宝物探しピクニックプラン(1泊2日)から2泊3日の「オリジナル家具DIYプラン」というのまでありましたよ。もちろん素人も安心して参加できるプランですが、中にはプロも来るという。もし自分だけの家具デザインが思いついたら、その時は匠パワーを借りて作りに来てみようかな。

【飛騨の森でクマは踊る/FabCafe Hida】
☎︎0577-・57・7686/info.hidakuma.com

協力/飛騨市役所

【関連記事】

コラムニスト 松尾 彩

こらえ性のない飽き症という特性を生かし、アーバンリサーチWEBマガジン「URBAN TUBE」にてエッセイ、コラムを寄稿するなど、雑誌からカタログ、ウエブコラムまでつれづれなるままに活動中。夫婦料理ユニット「#サイトウのゴハン」ディレクター。

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