しごとなでしこ - SHOGAKUKAN

AIやロボットは人間の労働を奪うのか!? これからの働き方は、こう考えればうまくいく!

AIやロボットは人間の労働を奪うのか?「AIが人間を代替する」時代、これからの私達の働き方とは? その答えのヒントが、2018年3月8日発売の話題の書『教養としてのテクノロジー』にあります。著者はマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長・伊藤穰一氏。本書よりの抜粋記事をお届けします。

「AIが人間を代替する」時代、人生の意味を考えた働き方が重要

これまでの時代では、企業という単位で富や資源を分配するために、「経済学」はとても機能していました。規模の拡大も、ビジネスを効率化するうえでは役立ちます。しかし、いまの社会にとって何が重要かは、経済学の観点だけで測れません。

例えば、IT企業が大きくなるなかで生まれたAIという科学技術により、人間のさまざまな仕事を奪うのではないか、という議論が盛んになされています。産業革命の時代以降、工場における人間の労働を機械やロボットが代替したように、オフィスで働く人間の仕事をAIが代替するのではないか、という話です。

ロボット
(c)Shutterstock.com

AIの技術はあらゆるサービスのインフラとして、すでに実用化の域に達しています。ディープラーニングによる音声認識機能の飛躍的な向上により、みなさんがよく使うグーグルの動画サービス「ユーチューブ(YouTube)」は、毎日10億本のビデオに字幕を付けています。

精度こそ発展途上ではありますが、英語のニュースもワンクリックで日本語に翻訳することができるようになり、言語の壁が壊れつつあります。当然ながら、耳で聞いた言葉を書き起こして字幕を付けるような人間の仕事は、AIに代替されたといえるでしょう。企業としては「効率化できた」というわけです。

しかし、人間の労働は経済効率だけで語ることはできません。これを知るには、まず「労働=<働く>」とはどういうものなのか、定義することから始めなければいけません。

<働く>とは、お金をもらって何かをするということなのでしょうか? 例えば、「子育て」は誰からもお金をもらっていませんから、<働く>ではないと考えるのが一般的です。あるいは、庭の畑で自家栽培して食べることは<働く>なのでしょうか? 給料の出ない自給自足は<働く>と呼んでいいものか、線引きが曖昧です。

私が所属するMITメディアラボは、企業や世界各国の政府系機関などがスポンサーとしてお金を供出して、学生はそこから給付金をもらって勉強しています。果たして彼らは<働く>と言えるのでしょうか?

オフィス
(c)Shutterstock.com

このように、少し考えるだけでも<働く>という定義は難しいものです。経済効率だけでは測れない職業もたくさんあります。例えば政治家は、一義的には<働く>でしょう。

しかし、みなさんもご存知だと思いますが、英語では「ワーク」ではなく「サービス」という言葉を使います。

軍人もサービスです。彼らは給料としてのお金はもらいますが、一生懸命働いたほうがお金をもらえるという意味のサービスではありません。本来、政治家も軍人も「お金のために<働く>ものではない」と考えられているからです。

<働く>ことがイコールお金ではないように、世の中にはお金ではないが価値のあるものや、お金では決して買えないものも存在します。

お金ではないが価値のあるものとして、「アテンションエコノミー(関心経済)」という概念があります。この言葉は、1997年にアメリカの社会学者であるマイケル・ゴールドハーパーが提唱したものです。情報過多の社会では、人々の「アテンション(注目や関心)」が情報量に対して希少になることで価値が生まれるというものです。

トラフィックが多いウェブサイトは、いつでもトラフィックに広告を入れることでお金に換金できます。SNSでフォロワーの多いインフルエンサーも同じです。アテンションがお金ではない1つの価値の蓄積として機能しているのです。

一方で、お金では決して買えないものがあります。身近なところでいえば、大学の「学位」です。学位はアテンションのようにお金に換えることはできませんが、学術の世界では価値があります。そのため、学者はアカデミズムのあいだでの評判や地位を上げるため一生懸命に<働く>のです。

お金のない学者もいれば、お坊さんや牧師さんもお金のために<働く>とは言えないでしょう。作家のような文化人も同じです。結果的にベストセラー作家になったとしても、最初からお金のために<働く>作家が多いとは思えません。

手紙
(c)Shutterstock.com

AIが人間の仕事を奪ったとしても、人間が<働く>ことがなくなるというわけではありません。僕もよく人に「AIに人間の仕事が奪われたら、どうすれば良いでしょうか」と聞かれますが、それは大きな誤りです。人間はお金のためだけに<働く>わけではないからです。

テクノロジーが急速に発展するいま、お金のような経済的な価値のためだけに<働く>ことに疑問を持つ人はこれからもっと増えることになります。つまり、お金のためだけに<働く>のではない。「ミーニング・オブ・ライフ(人生の意味)」が重要になってくるのです。


本記事は、「教養としてのテクノロジー」よりの抜粋です。本書は他にもさまざまなITに技術に注目して、「どう変わるか?」をわかりやすく解説しています。

「教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン」

AIやロボットは人間の「労働」を奪うのか? 仮想通貨は「国家」をどう変えるのか? ブロックチェーンがもたらす「金融・経済」への影響は? 世界大学ランキング6年連続1位(英クアクアレリ・シモンズによる)の米国マサチューセッツ工科大学(MIT)でメディアラボ所長を務める伊藤穰一が「経済」「社会」「日本」の3つの視点で未来を見抜く。伊藤穰一、アンドレー・ウール著(NHK出版)

あなたにおすすめの記事

アクセスランキング
  1. 【無印】80円の整理ボックスはキッチンに不可欠! 魅力と活用法を紹介

    【無印】80円の整理ボックスはキッチンに不可欠! 魅力と活用法を紹介

  2. 歌舞伎の「幕間」って正しく読める? “まくま”って言ってない?

    歌舞伎の「幕間」って正しく読める? “まくま”って言ってない?

  3. 旦那にバレないよう持ってこい? 不倫中の昼顔妻から「理不尽すぎるお願い」3

    旦那にバレないよう持ってこい? 不倫中の昼顔妻から「理不尽すぎるお願い」3

  4. 6歳下男性に「付き合おうよ」(赤面)と自分から言ってみたら…|40代本気婚活レポート44

    6歳下男性に「付き合おうよ」(赤面)と自分から言ってみたら…|40代本気婚活レポート44

  5. ここに泊まるの!?「ドライブデート」が苦い思い出になったカップルの珍事3

    ここに泊まるの!?「ドライブデート」が苦い思い出になったカップルの珍事3

人気のキーワード
LIKEランキング
  1. たった2分でツルツル卵肌…!? 本格的な「金箔美容」が自宅でできるマスクは究極の時短美容♡

    たった2分でツルツル卵肌…!? 本格的な「金箔美容」が自宅でできるマスクは究極の時短美容♡ ビューティ

  2. 前髪アレンジで簡単イメチェン!のばしかけでもトレンドヘアに!

    前髪アレンジで簡単イメチェン!のばしかけでもトレンドヘアに! ビューティ

  3. 【元CAのポーチの中身】まるで救急箱⁉︎ メーク直しを時短化、超ミニマル精鋭アイテム

    【元CAのポーチの中身】まるで救急箱⁉︎ メーク直しを時短化、超ミニマル精鋭アイテム ビューティ

  4. 【女子ラーメン度4点の高得点】リコピンで健康的に!! お洒落みそトマトらーめんを“赤坂”で発見

    【女子ラーメン度4点の高得点】リコピンで健康的に!! お洒落みそトマトらーめんを“赤坂”で発見 グルメ

  5. 疲れた体と心にしみるあっさりスープに癒された夜【女同士でラーメンナイト】

    疲れた体と心にしみるあっさりスープに癒された夜【女同士でラーメンナイト】 グルメ

編集部のオススメ記事
  1. 爆売れ中の新顔フード・タクロ。味も食感も日本人にウケそうなので日本販売を希望します♡

    爆売れ中の新顔フード・タクロ。味も食感も日本人にウケそうなので日本販売を希望します♡

  2. 【結婚♥お金】結婚したいけどお金がない! お金がなくても結婚できる?

    【結婚♥お金】結婚したいけどお金がない! お金がなくても結婚できる?

  3. 東京の【手土産】9選、一目置かれる大人の一品まとめ【保存版】

    東京の【手土産】9選、一目置かれる大人の一品まとめ【保存版】

  4. 【結婚♥ 両家の顔合わせ】服装・手土産・場所・費用負担って、どうするの?

    【結婚♥ 両家の顔合わせ】服装・手土産・場所・費用負担って、どうするの?

ピックアップ記事
  1. 【8月の運勢】数秘術で占う毎月の運勢|Precious.jp 今月の占い precious

    【8月の運勢】数秘術で占う毎月の運勢|Precious.jp 今月の占い

  2. ナデシカ毎日占い nadeshiko

    ナデシカ毎日占い

  3. 【しごとなでしこ】Webエディター、ライター、アシスタント、オペレーター大募集! nadeshiko

    【しごとなでしこ】Webエディター、ライター、アシスタント、オペレーター大募集!