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笑いのブン学【33】

又吉直樹「共感を得にくい人でも生きていていいというのを表現したかった」|独占撮り下ろし&インタビュー(後編)

Oggiファッションエディター 小林 文が、三度のご飯より好きなお笑いについて、あーでもない、こーでもないと語るコラム「笑いのブン学」。今回はスペシャル版として、ピース・又吉直樹さんへのインタビューをお届けします。

又吉直樹「仕事と恋愛は別物ではなく、両方が影響を与え合っている」

前回は9月9日(土)、10日(日)に控えたライブや開催するにいたった経緯について、うかがいました。芸人として劇場に立つ際考えていることもお聞きしたところで、vol.2の今回は著書である『劇場』のこと、又吉さんの仕事や恋愛論についてもたっぷり教えていただきました。

▶︎又吉直樹が見た「絶景」とは?|独占撮り下ろし&インタビュー(前編)

――著書『劇場』はどんな思いで書いたのですか?

又吉:僕自身10代でお笑いを始めて、まだまだ途上の段階なんです。まぁ、みんなそうだと思うのですが。そういう同じような青年に自分の思いを託して、書きたかったんです。僕は仕事と恋愛がまったく別物ではなく、両方が影響を与え合っているんです。仕事も恋愛も両方描くことでどっちも見えてくる…そう思って書いてみたかった作品です。「永田」という主人公の視点で書く物語だったので、共感されにくい人物を書こうと思いました。

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――「共感されにくい人物」とは?

又吉:自分に厳しい、許してもらおうとしない、同情を誘おうとしない登場人物。よく本の感想で「共感できました」とか「共感できませんでした」ってありますよね。「共感できた」=「おもしろい」、「共感できない」=「おもしろくない」っていう見方が流行っているなと感じていて。僕は共感を得にくい人でも生きていていいというのを表現したかったんです。

――又吉さんと「永田」は似ていますか?

又吉:今まで自分がいろんな小説を読んできて、そのたびに主人公と自分を重ねながら読んできているわけで、そんな自分が書いた小説の主人公がまったくの別人、というのはありえないですね。今回の「永田」と僕だったら…うーん、「永田」ほど感情を全面には出さないけれど、そういう感情的な部分は僕も似ていますね。「永田」が他人への才能に対して嫉妬心をストレートに示すところ、嫌われる要因なんだと思うのですが、僕は好きですね。僕自身は文章でもコントでも、作品になったとたんに感情的なものが多い。それは、かつて僕も嫉妬心が強かったからだと思いますね。

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――又吉さんは嫉妬心とどう折り合いをつけてきたんですか?

又吉:もともと、ダウンタウンさんに憧れて東京に出てきたんです。でも先輩にも同世代にもおもしろい人なんていっぱいいて、後輩にも抜かれて…。最初の1、2年は「永田」のように嫉妬していましたね。自分は世の中に待たれていると思っていたのに、全然待たれていなかった(笑)。いっぱい殴られて、痛みが麻痺していった感じ。でもあるとき、あの人が世に出たから自分が世に出られないっていう考えをやめたんです。自分たちはまだ単純に世に出るレベルに達していないんだって考えかたを切り替えたら、他人への嫉妬心はなくなりましたね。自分が売れるためになにが必要かだけ、考えるようになりました。今でも本当にすごいものを見ると嫉妬しますけどね。

――相方の綾部さんに対して嫉妬することはありますか?

又吉:綾部に対しては一度もないですね。もちろん才能があるし、おもしろいやつではあります。でも綾部とはまったくタイプが違うので嫉妬の対象ではないというか。バーベキューにいてくれたら助かるタイプ。めちゃくちゃ達者に火をおこして、みんなの飲み物配って…。テレビでもそうで、いてくれたら頼りになるやつですね。

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――今後の又吉さんの目標を教えてください。

又吉:コントライブは、引き続き定期的にやりたいですね。小説も2年以内くらいに新しい作品を出したいですね。4冊目以降はお笑いと文学を結びつけたい。笑える作品をつくるのって難しいと思うのですが、挑戦したいですね。

――最後に又吉さんの好きな女性のタイプを教えてください。

又吉:きれいなお姉さんタイプとか、突飛な古着を着こなす個性的なおしゃれな女性とか、今まで好きになった人のタイプはいろいろで、あんまり好みはないですね。あえてタイプというなら…、この人と同じ感覚で世界を見ていたら楽しそうだなと希望を持たせてくれる人。僕が悩んでいるとき、彼女が「わかんないけど大丈夫だよ」と言ってくれたとして、そのひと言で「まぁそうか」と思えるような人がいいですね。まぁ、結婚願望はめっきりなくなってしまっているんですが(笑)。

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二回にわたって又吉直樹さんのインタビューをお送りしましたが、いかがでしたでしょうか? 押し付けがましくないけれど、「なるほどな〜」と深くうなずかされる言葉選びやエピソードの情景描写、これこそが又吉さんをもっと知りたい、この人の小説やコントに触れていたいと惹かれる理由なのだと実感しました。もともとは感情的な性格、というのもなんだか親近感…! 今後の活躍がますます楽しみです!

Profile_1980年6月2日生まれ、大阪府出身。綾部祐二とコンビ「ピース」のボケ担当。お笑い芸人として活躍するかたわら、2015年に文芸雑誌『文學界』に小説『火花』を発表。同年、新人小説家の登竜門である芥川賞を受賞するなど大きな話題となった。2016年、有料動画配信のNetflixで映像化され、全世界へ配信される。今年11月23日には菅田将暉&桐谷健太にて映画化も予定されている。第二作目となる小説『劇場』(新潮社)も好評発売中。

(登場人物はすべて敬称略)

文/小林 文 写真/小嶋淑子

matayoshi

又吉直樹『さよなら、絶景雑技団』

日時:9月9日(土) 17:30開場 18:30開演、9月10日(日) 17:00開場 18:00開演
会場:東京都 有楽町 よみうりホール
出演:又吉直樹 他
チケット:チケットよしもと、チケットぴあで発売中
料金:前売り6000円、当日6500円

小林 文 ファションエディター

5年半の間営業職として勤めた会社を退職後、Oggi編集部へ。編集アシスタントを経て、Oggiのファッションエディターとして独立。リアル読者だったOL経験をいかして、日々楽しみながら邁進中。1985年生まれ、名古屋出身の31歳。インスタグラムは@kobayashi_bun

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