しごとなでしこ - SHOGAKUKAN

消費家ブログ Vol.36

オーガニックな香りとボトルに香水の魅力、ふたたび!

世界各地を駆け巡りマーケティングを行う黒島美紀子さんによるコラム連載。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返してきた彼女が、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察します。

香りと共に蘇る思い出

私は銀座の街を急いでいた。
強い日差しの照りつける銀座、ファミリーやカップルで賑わっている。
インスタグラム用の撮影だろう、前を歩くブロンドの二人が急に立ち止まって、歩道だというのに、お互いを撮り合いだす。

(そこどいてー、急いでいるのにっ!)
心の中でそうつぶやきながら、私は避けようとして思わずたたらを踏んだ。

(あっ!)
とっさのよろめきに、前から歩いてきたサラリーマンの男性は、腕で支えるように私を受け止める形になった。

「ごめんなさい!」
思わず謝る私に笑みだけ残してサラリーマンは立ち去っていった。

(あ…)
私の元に残ったその爽やかで甘酸っぱいコロンの香り。
(…あの人の香りだ…)

突然に脳裏に蘇る、懐かしくも苦い過去の思い出に、思わず私は茫然自失に立ちすくむ。暑い銀座の真ん中で。


我々は、目を凝らしたり、耳を澄ましたり、五感をアンテナのように張り巡らして、毎日を生きている。
その感覚の中で嗅覚というのはあまり主役になることはない。
どちらかというとスーパーサブ的なポジションだ。

だが、嗅覚がいったん主役に踊りでた時、その威力はすごい。人間の本能にガツンとくる。

みなさん、ふとした瞬間に香りと共に蘇る、「甘かったり辛かったりする思い出」に突如翻弄されたこんな経験、ありませんか?

…そうです今日は香りの話。


新しい香水との向き合い方

大先輩のミミオさんから「香水を作っている素敵な女性がいるよ」という一言に、私は「はい、ぜひ会いたい」と二つ返事。

クロシマは実は嗅覚が多分人より鋭い。(さすがマーケティング屋、いや関係ないか)
鋭い、を超えて、香水などをつけると鼻がツーンとなり、涙まででる始末。
昔はそれでも我慢してエタニティだのクロエだのをつけていたが、オーガニック素材を使ったボディクリームやエッセンシャルオイルがマーケットに浸透しだしてからは、香水からは全く縁遠くなっていた。

昔の香水はボトルが瀟洒(しょうしゃ)で繊細でどれもかわいかったけれど、今の私には断捨離対象だった。

そんなクロシマが突然香水の話を聞きたくなった。それも何かの予兆かはたまた、単なる偶然か。

待ち合わせ場所の指定は、パレスホテル。(むむ、今時の「港区肉食系女子」っぽい)

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覚悟して待ち合わせに向かったクロシマをカフェで満面の笑みで迎えてくれたのは、アナウンサーから転身して香水を作り始めたというサユリさんと、彼女が作った香水だった。

彼女の作った香水こそ、今回の話の主役「ウィッテ」(http://whitteinc.com)。

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「私は香りもアートだと思うんです。色々空想したりしながら調合していくこの作業、まさにアートだと思うのです」コロコロと笑いながら熱く想いを語るサユリさん。
全然気負いもなく、ただただ香水を愛する彼女。

香りの名前をいちいちメモしながらそれぞれの香りの特徴と想いを天真爛漫に語りながら、綺麗に梳かれた名刺サイズの和紙に次々と七つの香りを吹き付けて私に渡してくれた。

エキゾティックなもの、クリーンなのに芳醇なもの、甘くて懐かしい香り…
その馥郁(ふくいく)とした香りに思わずどれにもうっとりする。

彼女が書いてくれるその英語のスペルがちょっと間違ってたりするのもおおらかでほっこり~
(笑 サユリさん ごめん)

手にとった香りは「Citrus 13」という名前。
「なぜ13なんですか?」と聞くと、
「シトラスは世の中にもたくさんある香り。他にはない香りを作りたくて、色々試してたら、このすっきりなのに甘い13番目のシトラスが素敵だったんです!」とサユリさん。

素敵なストーリーがある香りじゃないか。

オーガニックで流線が美しいボトルも、
「人間の体にはどことして直線の部分はない。そんな人間のボディをイメージして世界からこの瓶を探してきました!」

話がはずみ、時間が過ぎ、はっと気づく。
あれ、鼻が痛くならない!

オーガニックな原料を多く使い、より自然に近い香りを提案しているウィッテだからこそ。

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帰り際にサユリさんが「試しに使ってみてください」と渡してくれたロールオン。
事務所で仕事しながら、ラップトップに向かいながら手首にそっとロールしてみた。

機械の熱で時々ふわりと立ち上る爽やかで柔らかくて優しい香り。
思わず息を吸い込む。疲れた頭に広がる甘さがくせになる。

香水というのは相手を扇情したり、自分を持ち上げるための魔法のクスリだと思ってたけど、自分をふわっと包みこんで、気持ちを落ち着かせるこんなオーガニックな使い方もあるんだね。

新しい香水との向き合い方。
あたらしい五感の使い方、香水。
昔の想いにキュッとなるだけじゃなく、新しい自分にフワっとなろう。

#今日の消費はcitrus13
#伊勢丹新宿店メンズ館8階にてウィッテお取り扱いありますよー

黒島美紀子 MKシンディケイツ代表

消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。

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